検討資料一覧 堺筋を考える会
御堂筋の完全歩道化計画および堺筋・船場地区に関する行政資料、学術論文、民間提言を収集し、出典・入手先・内容の要約を整理した資料集。特定の論考のための根拠集ではなく、今後の検討に用いる素材の目録として編集している。
事実御堂筋関連の行政資料は大阪市サイトの下記カテゴリに約55件が集約されている。個別ページを探すより、この一覧から辿るのが確実。
大阪市:御堂筋(事業別計画、指針・施策 > 道路)記事一覧
所管:大阪市建設局企画部企画課 道路空間再編担当(大阪市住之江区南港北2-1-10 ATCビルITM棟6階/06-6615-6786)
| 時期 | 資料 | 内容 |
|---|---|---|
| H25.11 | 御堂筋側道閉鎖社会実験の結果 | 最初期の側道閉鎖実験 |
| H29 | 御堂筋完成80周年記念事業 | 将来ビジョン策定の母体(80周年は H29.5.11) |
| H30.10 | 側道の歩行者空間化に向けた社会実験の結果 | 道頓堀橋北詰〜難波西口 約0.4kmで2週間。難波交差点の交通処理と荷捌き需要を検証 |
| ─ | 道路空間再編に向けたモデル整備 | 先行整備区間の考え方(H28.1〜検証) |
| R2〜R7 | 御堂筋チャレンジ 2020/2021/2022結果/2023結果/2024結果 | 年次社会実験の系列。経年比較が可能 |
| R3〜R7 | 歩行者利便増進道路(ほこみち)指定/誘導区域指定 R4.4・R4.10・R5.2・R6.2・R6.12・R7.11 | 制度面の要。ほこみち制度の適用手続の実例が6回積み重ねられている |
| R3〜 | 道路協力団体の指定/指定要綱/募集 | 官民連携の器。要綱が公開されている |
| R3〜 | パークレット 社会実験/いちょうテラス淀屋橋/いちょうテラス高麗橋 | 車道空間の滞留空間化。2基が常設化 |
| R6〜 | 一部歩道の供用開始(他・他) | 供用区間の確定情報 |
| R8.1 | 沿道アクセススペースの適正利用に関する社会実験 | 直近の動き。荷捌き・停車の運用課題 |
| ─ | Wi-Fiパケットセンサーによる交通流動調査 | 人流データの取得手法 |
| ─ | 御堂筋将来ビジョン実現に向けた基本方針等検討業務委託 | 発注案件。今後の方針の骨格。本文は自動取得できず要ブラウザ確認 |
事実「御堂筋側道閉鎖交通影響検証の結果とりまとめ」の主要数値。
| 検証項目 | 結果 |
|---|---|
| 検証区間・期間 | 長堀通(新橋交差点)〜道頓堀川(道頓堀川北詰交差点)/令和4年10月4日〜11月15日。東西両側道を段階的に閉鎖 |
| 新橋交差点 渋滞長 | 最大値で閉鎖前 平日150m → 閉鎖後 休日120m。概ね同程度 |
| 難波交差点 渋滞長 | 最大値で閉鎖前 平日80m → 閉鎖後 休日30m。減少傾向 |
| 新橋〜難波 所要時間 | 閉鎖前と比べて大きな変化なし |
| 区間内主要交差点 | 渋滞は閉鎖前と同程度。休日に沿道施設駐車場への入庫集中で一部混雑が生じたが、誘導対策後に改善 |
| 東西道路の渋滞 | 閉鎖前と比べて改善傾向。大丸前交差点西方向は R2.12 休日120m → R4.10 休日70m |
| 停車スペース | アクセススペース7か所等。容量は全体として確保され本線への影響は概ねなし。ただしバス停・タクシー乗り場への一般車駐停車、長時間停車が発生 |
| 断面構成 | 現況:歩道6m+側道5m+車道4.5m|13m|4.5m+側道5m+歩道6m=44m 計画:歩道13.5m+車道17m+歩道13.5m(歩道内訳=歩行者4.15m・自転車2.5m・滞留4.0m・植樹桝2.35m) |
| 同時実施の対策 | 信号現示の改良(東西横断距離短縮に伴う歩行者信号の早切り、南北方向の自動車専用現示確保)、乗り入れ部の隅切り改良、沿道施設との駐車場運用調整、交通誘導員の配置 |
推測読み方の留意点。「渋滞が増えなかった」という結果には、少なくとも三つの前提が伴う。①信号現示の改良という能動的な交通対策が同時に打たれている ②交通誘導員の配置という人手による運用が前提 ③そもそも御堂筋の自動車交通量が40年前比で4〜5割減という構造的な余裕がある。無対策の結果ではない。
引用抄録(J-STAGE掲載)
近年、持続可能なアーバニズムの一環として歩行者中心の道路空間が重要視されており、世界中で様々な取り組みが行われている。日本においても例外ではなく、歩行者空間創出の事例は数多く存在する。一方で、道路の歩行者空間化が周辺の交通状況を悪化させるという懸念も根強く存在し、この懸念を払拭するだけの明確な根拠を示した研究の不足が歩行者空間導入の妨げになっている可能性がある。本研究では、大阪・御堂筋で進められている歩行者空間化計画を対象に、側道歩行者空間化が周辺の交通状況に及ぼした因果効果を差分の差分法(DID)によって定量的に評価した。その結果、側道歩行者空間化が周辺の交通量を増加させたという明確な事実は確認できず、場合によっては交通量減少に寄与する可能性があることを明らかにした。
確認した範囲の御堂筋計画文書に、堺筋を名指しした検討記述は見当たらない。周辺道路への影響は認識されているが、路線名を挙げず「都心部全体の交通ネットワークの再編」という抽象度で扱われている。
事実本文テキストを取得して確認した資料と、堺筋への言及状況。
| 資料 | 「堺筋」の語 | 周辺道路に関する記述 |
|---|---|---|
| 御堂筋将来ビジョン 〔概要版〕(2019.3) |
出現なし | 「大阪都市再生環状道路の構築により御堂筋に流入する通行交通を分散させる」「御堂筋周辺の幹線道路や御堂筋に接続する東西道路など、都心部全体のネットワークの再編を行う必要がある」「渋滞や荷捌きなど、御堂筋をはじめ周辺道路や地域に与える影響が大きい」──いずれも路線名の特定なし |
| 御堂筋の道路空間再編に ついて(案) |
出現なし | 北側区間について「現時点で側道を閉鎖した場合、本線に渋滞・交通影響」と記すが、対象は御堂筋本線。周辺路線への転移の記述は確認できず |
| 御堂筋側道閉鎖 交通影響検証結果(R4) |
位置図の地名表示のみ | 検証区間の位置図に「四つ橋筋」「堺筋」が周辺地名として記載される。ただし検証項目は御堂筋本線・区間内交差点・東西道路(新橋/鰻谷/大丸前/清水町/周防町/八幡町/道頓堀橋北詰)に限られ、堺筋そのものの交通量は測定対象に含まれていない |
推測この状況からは二通りの解釈が可能で、公開資料だけでは判別できない。
将来ビジョンが「都心部全体の交通ネットワークの再編」を長期目標(2037年)側の課題として明示的に後置していることからは、Bの可能性が高いと読める。ただしこれは推測であり、確認には第10章の照会が必要。
事実まちなみ修景の実績(平成21〜29年度、計20件)。補助制度により実現した修景の一覧が公開されている。
| 年度 | 建物 | 修景概要 |
|---|---|---|
| 21 | 芝川ビル | 正面レリーフの再現 |
| 21 | 生駒ビルヂング | 時計塔照明・装飾の再現 |
| 21 | 旧小西家住宅東側駐車場ゲート | 門・塀の新設 |
| 22 | 旧小西家住宅衣裳蔵等/青山ビル/北浜レトロビルヂング | 屋根葺替/正面外観修景/正面外壁修復・看板照明 |
| 23 | 新井ビル/佐々木化学ビル/三休橋筋道路銘板/グランサンクタス淀屋橋/伏見ビル | 正面外観修復/薬草タイル/銘板設置/外壁保存(曳き家工事)/外壁修復・庇 |
| 24-25 | 朝日生命道修町ビル/武田道修町ビル/高麗橋ビル | 1階ガラス面改修/ライトアップ/外壁屋根修景・ステンドグラス再設置 |
| 26-27 | 田辺三菱製薬新本社ビル/INOYA BLDG/旧岡島新聞舗北浜出張所 | 薬草タイル・案内板/レンガ調タイル/正面外観修景 |
| 28-29 | 北浜長屋/小城製薬/伏見町 宗田家住居 | 屋根瓦葺替・増築部撤去復元/石貼・門扉/外観修景 |
出典:大阪市「船場地区HOPEゾーン事業」ページ。各建物名から個別の修景内容ページへ遷移可能。
事実三休橋筋は、船場の南北の「筋」が地域主導で再設計された唯一の完了事例である。堺筋・御堂筋と同じ町割の中で、規模の小さい筋がどのような手順で変わったかの実例として、最も参照価値が高い。
| 時期 | できごと |
|---|---|
| 2000年ごろ | 三休橋筋の魅力を発信してまちづくりを進める有志が集まりはじめる |
| 2004年3月9日 | 船場地区の6連合町会長が世話人となり「三休橋筋発展会」設立 |
| 2006〜2012年 | 大阪市によるプロムナード整備事業。無電柱化、歩道の拡幅、街路樹(センダン)の植樹を実施 |
| 2014年 | 大阪ガス・堺屋太一氏らの尽力でガス灯55基を設置。デザインはプロダクトデザイナーで三休橋筋商業協同組合理事長の喜多俊之氏 |
| ─ | 大阪市の「船場のまちなみ作法」に三休橋筋編が単独で編纂される |
| 文献 | 出典 | 内容 |
|---|---|---|
| 御堂筋の側道歩行者空間化が周辺部の交通状況に及ぼした因果効果に関する研究 | 中村耀三ほか/都市計画論文集 60(3) pp.1588-1595/2025/OA | DIDによる因果推論。周辺交通量の増加は確認されず |
| 大阪難波地区・御堂筋の道路空間再編社会実験区間における通行・滞留行動の実態 | 日本建築学会技術報告集 28(70) p.1471/2022 | ビデオ観測調査による歩行者交通行動・滞留行動の評価。交通量ではなく「居場所としての質」を測る手法 |
| 三休橋筋沿道の建物用途変化とまちづくり活動 | 篠原祥・松本邦彦(大阪大学)/日本都市計画学会関西支部 | 筋の整備と沿道建物用途の変化の関係 |
| 雑誌『大大阪』の論考にみる戦前期大阪の都市美思想の展開について | 日本建築学会計画系論文集 71(601) | 大大阪期の都市美思想。堺筋・御堂筋の位置づけの歴史的背景 |
| OSAKA URBANDESIGN EXPLORE vol.3『船場の近代建築』 | ハートビートプラン/講師:髙岡伸一 | 船場の近代建築の保存・活用に関する講演レポート。生きた建築ミュージアムの経緯 |
| 船場の通と筋の名前についての考察と提案 | 古地図で愉しむ大阪まち物語(個人サイト) | 船場の東西「通」・南北「筋」の構造に関する考察。個人サイトのため典拠には用いないこと |
※ 個人サイト・ブログは行政資料の所在を辿る導線としては有用だが、数値の典拠には用いないこと。必ず一次資料に当たる。
事実自動取得できなかった資料
事実照会先
| 所管 | 連絡先 | 担当領域 |
|---|---|---|
| 大阪市 建設局企画部企画課 道路空間再編担当 | 06-6615-6786 FAX 06-6615-6575 | 御堂筋の道路空間再編、交通影響検証、ほこみち指定、道路協力団体 |
| 大阪市 都市整備局企画部住宅政策課 まちなみ環境グループ | 06-6208-9631 FAX 06-6202-7064 | 船場地区HOPEゾーン事業、まちなみガイドライン、修景補助制度 |
| 一般社団法人 船場倶楽部 | sembaclub.com | 船場地区のまちづくり全般。78会員の地域プラットフォーム |
| 三休橋筋商業協同組合/ 汎愛地域活動協議会 | 3984st.com | 三休橋筋の整備経緯・運営実務 |
推測資料の分布から見えること。御堂筋には計画文書・ガイドライン・実測データ・査読論文・経済団体提言が揃っているのに対し、堺筋には路線を単位とした計画文書もガイドラインも交通調査も存在しない。堺筋に関する資料は、船場という面的なまちづくり(HOPEゾーン事業・船場倶楽部)か、個別建築の保存活用(修景・登録有形文化財)のいずれかに分散している。三休橋筋だけが「筋を単位とした再編」の完了事例として例外的に資料化されている。
本資料集は2026年7月27日時点の公開情報に基づく。URLは同日に到達を確認した。PDFの内容は自動抽出したテキストに基づいており、図表の読み取り精度には限界がある。数値を引用する際は必ず原典PDFで確認すること。大阪市の資料の多く(御堂筋将来ビジョン、交通影響検証結果、みちガイドライン、チャレンジ2025検証結果、船場のまちなみ作法)はCC-BY4.0で提供されており、出典表示のみで図表を再利用できる。